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議員特権・集計結果

2007年2月9日

議員特権全国調査について(解説)

本調査の意義について

 本調査は、2006年11月の本キャンペーンにおける中間報告に引き続いて、全国の基礎自治体レベル(市区町村)において、自治体議員待遇の実体を網羅的にまとめたものである 。(※1)自治体議会改革を考える上で、貴重な基礎的資料といえる。

 特に、全国1840の基礎自治体のうち、1526自治体から回答を得て、82.9%の高い回収率を達成できたことは、本調査の意義をさらに高めている。

※1
都道府県レベルや政務調査費などの特定分野での先行調査の例としては、次のものがある。都道府県レベルの調査としては〈加藤眞吾「地方議会議員の待遇」『レファレンス』2006年7月号〉、個別の調査としては〈全国町村議長会「政務調査費に関する調査結果の概要」『地方議会人』2003年9月号〉などである。

費用弁償について

 費用弁償とは、議員が議会に出席するための自宅からの交通費と基本的に位置づけられている。
本調査では、1526自治体のうち、866自治体(約57%)の自治体が、費用弁償制度を設けていると回答した。
 そのうち、34自治体が、5,000円を超えた額を定めている。基礎自治体内で、自宅から議会まで公共交通機関を用いて往復5,000円を超える交通費がかかることは、通常考えられない。議員は、実費分との差額をどうしているのか、有権者に説明すべきである。
 一方で、658自治体が、費用弁償制度を設けていないと回答した。地域特性や財政状況から制度を設けていないと考えられるが、自治体合併により多くの自治体で領域が拡大していることから、費用弁償を安易に廃止することは、自治体内において新たな中心周辺間の格差を生む恐れがある。
費用弁償制度の趣旨を踏まえれば、すべての自治体において、公共交通機関、あるいはガソリン・駐車場代の実費精算とするのが、あるべき姿と考えられる。

政務調査費について

 政務調査費とは、議員が議会活動を行う上で必要とする調査・研究費のことである。
 本調査では、1526自治体のうち、818自治体(約54%)の自治体が、政務調査費を設けていると回答した。政務調査費を設けていないと回答した704自治体のうち、630自治体(約90%)が町村であることから、市区と町村間で格差が見られる。
 ここで注目されるべきは、領収書提出義務の有無である。222自治体が、政務調査費の使途について、領収書を提出する必要がないと回答している。領収書の提出義務がなければ使途報告を確認することができず、使途不明金と同じである。
 また、領収書提出義務があると回答している592自治体についても、一概に問題がないとすることはできない。なぜならば、領収書提出に際して、一定の免責事項を設けている自治体があるからである。例えば、5万円以上の支出のみ領収書提出義務があるとすれば、問題のある支出を5万円以下の支出に分散すれば領収書を提出する必要はなくなる。領収書提出義務についても、その内容まで精査する必要がある。今後の課題である。

 本来、政務調査費とは、調査・研究費を報酬とは別立てで設けることにより、行政のチェックや条例制定などの議員活動を活発にし、最終的には住民福祉を向上させることが目的である。したがって、政務調査費の存在自体は、住民自治を促進するものである。
重要なことは、政務調査費の使途と領収書を、住民に対して全面的に公開することである。それは、住民が議員の活動を判断する際の重要な材料となり、政策活動に励む議員を増やしていくだろう。

永年勤続表彰について

 永年勤続表彰とは、何度も再選を繰り返した議員を表彰し、副賞を渡す制度である。
 本調査では、1526自治体のうち、518自治体(約34%)が、本制度を設けていると回答した。なお、本年に入っていくつかの自治体で本制度を廃止する動きがある。
そもそも、首長や議員のような「選挙による公職」に特定の人物が長期就任することは、権力の固定化を招く恐れがあり、住民自治の観点からは好ましくない。よって、議員に対して永年勤続を表彰し、さらに税金で副賞を与える正当性は、まったくないと言える。

視察時のグリーン車利用について

 本調査では、1526自治体のうち、202自治体(約13%)が、議員の視察に際してグリーン車の利用を標準としていると回答した。
自治体予算全体から見れば、普通車利用との差額は大きくないとも言える。だが、議員は、納税者代表として税金の使い方をチェックすることが、最大の任務である。グリーン車利用は、議員の税金に対する感度を計る指標と言える。

行政付属機関(審議会等)の委員兼任について

 本調査では、1526自治体のうち、1087自治体(約71%)において、議員の審議会委員への就任が常態化していると明らかになった。
ここには、意思決定のあり方と二重報酬という2つの問題がある。
 まず、議会において政策決定過程への参与が保障されている議員に、更なる参与機会を保障することになり、一般の住民と比べて議員に対し過度の政策決定権限を与えることになる。また、行政過程において議員が政策決定に参与することは、自治体内の権力分立を阻害することにもなる。よって、住民自治を損なう方向で、作用することになる。
 また、議会に割り当てられた審議会委員ポストに、議会から指名を受けて就任することは、議員としての公務である。議員としての公務を遂行しているにもかかわらず、議員報酬とは別に報酬を受け取るのは、給与の二重取りとなって、明らかに問題である。

公費による海外視察について

本調査では、1526自治体のうち、165自治体(約11%)が海外視察制度を設けていると回答した。さらに、68自治体が、海外視察に当たって支度金、いわゆる餞別を公費から支出していることも明らかになった。
 海外視察は、明らかに政策調査の一環であり、必要があれば各議員の判断で政務調査費をもって行われるべきである。よって、公費による海外視察制度は、政務調査費に統合し、使途と領収書をすべて公開するのが、妥当である。
また、支度金については、海外旅行が一般的となった現代においては、その意義と根拠を見出すことはできない。廃止すべきであろう。もし、海外視察に必要な特別の調査備品等があるとすれば、政務調査費で調達し、使途と領収書を公開しても、住民の理解を得られるはずである。

解説:田中信一郎(明治大学大学院政治経済学研究科政治学専攻博士後期課程。政治制度論)